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パイロット萬年筆 FZ53R

 ラミーロゴ204において、工業製品の価値とは普遍性と機能性であって徒らに求められた個性ではないと述べた。
しかし強力な反証が現れた。次のリンク先をご覧頂きたい。
黒軸&金トリム万年筆の増殖で、判別に悩む: 細字万年筆にこだわる
 なんということだ! 日本製万年筆は制服を着ているのか!? それとも就活中なのか!? これから履歴書書くのか!? ブルーブラックで?
否、これらはすべて高級感と威厳を体現し、会社役員のポケットに居場所を求めているのである。しかしその威厳は埋没している。
 これを説明するには、ドイツ観念論に現れる絶対者が日本万年筆界にも現れたことを、形態形成場理論を主張せねばなるまい。これぞ理性の詭計。
そして思い出してほしい、機能が形態を決定する以上、道具の形状が収斂傾向を見せるのは当然であり、機能主義的観点からすれば個性など無価値だということを。
とはいえこのクリシェがもたらす弊害を無視できない。これを論駁するには常ならざる労苦を要するだろう。代わりに古い日本製万年筆を紹介する。
 1945年前後のパイロット、中古。内部のゴム嚢をスポイトにしてインクを吸い上げるてこ式lever filler, 容量約1mL。
品名と製造年代は同社に教えてもらった。


ニブ刻印
STANDARD
PILOT
-<3>-
MADE IN
JAPAN
 戦中の物品統制により金使用が禁じられ、白ペン(鉄ペン)をやわらかくするためハート穴(空気穴)はへの字型。当代の白ペンは一般に非磁性だが、これには弱い磁性がある。
 ニブに波打った跡が見られることから一旦折れ曲がったらしく、手を加えられたと思われ、平研ぎ風である。なめらかさにやや欠けるが平研ぎのためあたりがよく、そして堅さを感じない。
 ペン芯は横溝なく縦溝のみ。
インク供給は今のところ問題ないが、初夏には漏れるだろう。
※夏になってもインク漏れせず。あまり携帯していないが外出時にもインク漏れはない。但しペン先が乾く。

 鞘に空気孔あり、クリップは非磁性。入手時クリップ先端が鞘から浮き上がっていたため曲げて鞘に密着させた。帯金は地が露わになり、外れそうになっている。後付けか。

 入手時、ゴム嚢は溶けかかって弾性を失っており、同社に修理依頼したがサイズが合うゴム嚢無く修理不能で返却、結局万年筆屋に頼んで新調戴いた。
本品は捨てられてしまうようなジャンクでしかも修理不能と判断されたが再生できた。取り返しのつかないものもあるが、そればかりではないことに気づいてほしい。
 右の戦後もの(品名不明)は随分まえに同社ペンクリニックにて修理戴いたもので、担当ペンドクターはひどく懐かしんでおられた。そのゴム嚢が細いことから、少し無理して取り付けたのかもしれん。

胴軸刻印
"PILOT"
THEPILOTPEN[浮き輪印]MFG.CO.LTD.
MADE IN JAPAN
「万年筆クロニクル」p266によれば、浮き輪印中央のN刻印は1937年までの仕様であり、翌年からP刻印へ、社名も並木製作所からパイロット萬年筆へ変わった。しかしこれは混在している。製造年代は1930年代末から1940年代前半か、数本の万年筆から組み上げられたものか。
下は戦後もの。
  1. 2011/03/15(火) 18:00:00|
  2. 万年筆Fountain pen
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