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ファーバーカステル2530Nと月光荘8B鉛筆


【月光荘/GEKKOSO】8B鉛筆(太軸6角鉛筆)

【月光荘/GEKKOSO】8B鉛筆用ヌメ革キャップ

【月光荘/GEKKOSO】鉛筆削り
ブンドキ.com Yahoo!店

 一方は国際的な鉛筆企業、一方は東京銀座の一画材屋から売り出されている太軸太芯デッサン鉛筆。ともに芯径4mm、黒鉛芯。
2530Nは硬度4Bのみ、φ10mm×176※2014年ころ廃番
薄く茶色に塗られた丸軸。欧州ものとしては珍しく両切り。同社#9000/4Bと比べれば、こちらの芯に脂とべたつきを感じるが気のせいだろう。
私有品は90年代末の品でFABER-CASTELL銘。品番末尾にN(Neu新型を示すことが多い)がつくことから旧2530があり、それはA. W. FABER銘だった。90年代のカタログでも旧型の写真が使われている。
そのカタログには6Bオーバル112994がデッサン鉛筆として本品と並記されているが、実見したことはない。
月光荘鉛筆は硬度8Bのみ、φ9.7mm×176
六角軸は透明ニス塗り。日本製?としては珍しく先付け(約29°)。製造元不明。北星鉛筆かキリン鉛筆か。
書き味はともによろしい、そして似ている。
 この二本に合う補助軸はリラ7170と7162、鉛筆削りならリラの木製二穴やトリオ183800など多種ある。
 夏目漱石の「虞美人草」に飴色鉛筆が登場して、真っ先に思い浮かんだのが今回の二本だったが、明治時代の小説なうえに件の鉛筆は消ゴム付きなのだった。月光荘8B鉛筆も当時は存在していない。2530はひょっとしたらありえる。

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 前回「虞美人草」を読んだのは、飴色鉛筆が登場することを何かの本で知り、そこからブログ記事を書けるという目論見からだった。過去、能動的に読んだ漱石は「草枕」くらいであるから、いきおいそれと比較することになる。
 虞美人草の前年1906年に発表された「草枕」は小説論小説、芸術論小説になっており、抽象画における印象派から表現主義への変化を、無自覚に説明するくだりがある。
「普通の画は感じはなくても物さえあれば出来る。第二の画は物と感じと両立すれば出来る。第三に至っては存するものは只心持ちだけであるから、画にするには是非ともこの心待ちに恰好なる対象を択ばなければならん。然るにこの対象は容易に出て来ない。出て来ても容易に纏まらない。纏まっても自然界に存するものとはまるで趣を異にする場合がある。」新潮版p77
漱石自身は山水画や日本画について書いているのだが、フォーヴィスムが1905年、青騎士第一回展が1911年、炯眼と言える。

 草枕には那美という、虞美人草の藤尾に通じる妖美な女性が登場する。
漱石は那美を世間から遊離し誤解されながら、屈託ない者として審美主義的観点から好意的に書いたのに、虞美人草では唯美的な藤尾を、物静かながら傲然たるエゴイストに書いた。
草枕で示した審美主義的傾向を、翌年改悛したように映る。
 この変化について「『虞美人草』は漱石がインテリの社会的な孤立の肯定的自己認識から否定的自己認識へと移行する転換点である。」Akamine's Web Pageとの一文を読んでなんとなくわかった気分になった。
 両作とも一貫して西洋批判、近代批判をし、抽象絵画を求める態度も物質文明批判の延長上にある。その観点からすると、藤尾は物質主義的で、那美は物質に頓着しない。
  1. 2011/09/30(金) 06:30:00|
  2. ┣鉛筆Pencil
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