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三菱鉛筆 ボクシー UB-1006BXN



 1960年代末に登場した水性ボールペンは旧来の油性ボールペンより書き味よく、筆跡が明瞭で、1980年代には中高級化し、数千円の水性ボールペンが次々発売された。ゼブラ Be-pen、パイロット ローリート、ぺんてるローリー(現行品とは異なる)など各社から発売され、それらはほぼ同型(JIS水性A型)替芯を用いた。つまり使い捨てではなく、替芯を基に商品展開された。
三菱鉛筆が発売したのがユニボールUBR-300替芯で、EXCEEDシリーズそしてBOXY上級品に採用された。今回はそれである。
軸色4色、生産期間不明(おそらく1980年代後半~1990年代)、たぶん日本製。1,000円。
 本品を紹介する前に、訂正したいことがある。「高級感への第一歩は替芯を金属芯化すること(高級品は中身からして違うことを、金属芯で印象づけられる)」と書いたがあれは誤りだ。高級化への第一歩は、長期に亘って使い続けられること、消耗品供給が続けられること、金属芯化はその次の段階、と修正しよう。そして日本製は生涯つきあえるものじゃない。
だから安物なのだが、当時流行した水性ボールペンの替芯は今も供給され、日本製ボールペンも高級化を志向していたことが窺える。

 Oリングをはめたグリップ「リングリップ(後年リンググリップへ改称された)」は当時の同社製図用シャーペンM3-1052にも見られる。
通例、キャップ式筆記具には、グリップに相当する「首軸」があり、ふだんはキャップに覆われているが、これは胴軸前部がグリップを兼ね、つねに露出している。首軸は極端に短く、口金の台座でしかないうえ胴軸と分離しない。
首軸が無いといったほうが適切な形式で、キャップを開けたのち、グリップを握り直すことなく書き始められる。そして直筒軸のため段差がなく握りやすい。ラミー ロゴ万年筆も同じだ。
多くのキャップ式筆記具では、首軸と胴軸の間に段差がある。評価が高い万年筆はこの段差が小さい、もしくは意識させないものだ。本品も同様である。
 キャップは胴軸と同径、長さは37.5mmで長すぎず短すぎず、後装してもクリップが干渉しない。

 直筒軸は、1920年代ころ登場した「流線型」によって時代遅れとなり、20世紀後半、モダンデザイン再評価とともに再登場した。そして流線型とモダニズムは奇しくも同時代のデザイン潮流だった。

 ABS樹脂軸は軽く、金属製替芯は重く、適度な重さと安定感がある。
キャップ式ボールペンはペン先ががたつかない。本品の胴軸内奥にはばねが仕込まれ、替芯を前方へ押しつけてペン先揺動を解消する。
口金をねじって外し替芯交換。

◆替芯UBR-300、φ6.2mm×111.5、ペン先径2.3mm、JIS水性A型、中綿式、現行品は黒インクのみ、おそらく染料系、日本製。1981年発売。
替芯を基に商品展開されたといっても、現在のohtoリバティと異なり替芯が多品種化しておらず、インク色が三色あるくらいだった。それも現在は黒のみ。
ボール径/筆記距離:0.5mm/約800m

●互換品:同社UBR-307*及びUBR-5P*、ohto C-300系及びG-300系そしてB-300系*、ゼブラA-300*及びA-100*、セーラー ローリング83-0300*、パイロット ローリートLシン30及びLシン15*、プラチナ万年筆SSP-300A*
*適合未確認
代用品:三菱シグノノック式用UMR-80系(いずれも芯先露出が足りない)、同SXR(同じく芯先露出が足りない)、ゼブラ サラサ用JF芯(1.0mm以外は芯先露出が足りない)、ぺんてるLR、KLR等(前掲品と同じく芯先露出が足りない)
いずれの代用品も、替芯尾端が空いているため、そこに胴軸内奥のばねが入りこみ、ペン先固定度が低下することがある。
パイロットLNシン25は長さが足りず、替芯キャップ等で延長する。三菱UBR-250とセーラー83-0250も同様と考えられる。

 付属芯(ロット番号4JA)は古いからか書き味がひどく、ほどなくして書けなくなった。現行品(14DZと15BZ)は同社シグノに似てややぬるぬるした書き味だが、あれと違って少々裏抜けする。
ohto C-305は本品に似た書き味で赤インクやブルーブラック等がある。型番がGから始まるとゲルインク、Bは油性インク。末尾にNPがつくとニードルポイント。
パイロット ローリートは同社Vコーンに似て、さらさらしている。

 JIS水性A型は俗称をC300系(ohtoの同型替芯の型番が元になったと思われ、概ね300円)と言い、JISゲルK型の原型となった。そのため本品にも互換品や代用品が多いが、最適なのはやはり純正品。ペン先の出具合などに違いがある。
水性C型は同様にゲルL型の原型となった。

 日本で開発された水性ボールペンは、当の日本人の評価が低く、欧米で受け入れられローラーボールとなったと聞いていたが、日本でも人気を博した時代があったことがわかる。といっても油性ボールペンの生産量を超えることはなく、その後登場したゲルインクに比ぶべくもなかった。そして使い捨て同然に売る方法へと回帰していった。

 BOXY DESIGNは同社の若年層向けブランドで、1975年から1990年代頃まで展開され、2006年に復刻された。最も有名なのは四角軸を特徴としたノック式百円ボールペンBX100とシャーペンM5-100BXNそして鉛筆No.4008で、他に種々の製品がありナイフやはさみさえあった。
それまで投入してきた製品が外部資産となってブランド価値を高めていたことがわかる。
→Good Design Award Super Collection
→『BOXY ステーショナリーシリーズ 限定復刻版』|2006年|プレスリリース|三菱鉛筆株式会社
 四角軸を特徴としたBOXYにあって、本品は丸軸。代わりに角軸の稜線を思わせる銀色の線条四本が表面を走っている。同時代の四角軸水性ボールペンであるパイロット クアトロに配慮したのかもしれない。もっとも当時のカタログを見ると、四角軸は代表的なボールペンとシャーペンくらいで、丸軸ボクシーも多かった。

資料、同社カタログ1991p21
カタログでは品番末尾Nが()で囲われている。

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  1. 2016/02/16(火) 06:00:00|
  2. ボールペンBallpoint pen
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