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ゼブラ スラリ300 BA38, BAS38


 同社スラリBN11を金属軸化した上級品、でありながら廉価な、労働者階級向け製品。2014年6月発売、中国製。300は価格を示す。2016年さらに高級なフィラーレが発売された。

 替芯は原型品スラリBN11と同じEQ芯。EQ-0.7芯(0.7mmボール)を装填して出荷されるのがBA38、EQ-0.5芯ならBAS38、ペン軸のボール径表記にかかわらず替芯互換する。
 私は同社F-301の系譜に連なる製品に分類しているが、公式のそれはF-701或いはフォルティア300である。

 プラスティック製品はたいてい経年でみすぼらしくなるだけだが、金属製品は「年老いて」も渋く見えるうえ割れない。反面、複雑なペン軸形状にするには手間がかかるため、単調な、しかし好悪がわかれにくい直筒ペン軸にされている。あらゆる低価格品がプラスティック化された今日にあって、明らかに好印象を与える公文書仕様インクボールペン。
2000年前後の行財政改革以降、一部を除いて日本の筆記具はすっかり貧乏くさくなって、使い捨て同然の安物を高級に見せかけようと素材をごまかすことに腐心してさらに安っぽくなった。低価格化だけならまだしも低価値化はデフレスパイラルを象徴していた。
 2010年代に現れた安っぽくない廉価品が同社フォルティアや本品である。米国ではZ-Mulsion LXの名で日本の約三倍$8.23で売られ、またインフレ圧力が高まっていることから、値上げされないとも限らない。気が向いたら買っておくのがよろしい。もっとも、のちに発売されたフィラーレがその役割を担っていること、国債過多な日本では金利上昇を抑えるデフレ圧力もまた存在し続けていること──景気回復が続いているなら貸出・預金金利も上昇するのにゼロ金利のまま。銀行が言うには資金需要が無い、とのことだが、政府日銀の主張と整合しない。外資誘導派政権によって間接統治体制へ移行しつつあるのは周知の通りであるが、直接金融比率を高めて労働分配率を下げた代わりに、個人向け融資(住宅ローン等ではなくカードローン、あれはサブプライムローンだ)を増やして個人消費を増やそうとしている。その金利は他と連動されずうまい方法ではあるものの、家計負債が増え貯蓄率が下がると予想される──から本品の価格は維持されるだろう。中国製が気に入らない愛国者は同社フィラーレにするがよい。あちらはたしか日本製だ。※2017年9月18日追記:フィラーレ、日本製ではないかもしれない。
・ノック負荷約350g。カランダッシュ849より少し軽く、柔らかく作動し、内部で回転子が噛み合う衝撃が小さくBN11より作動音が小さい。またノックボタン径が太くて押しやすく、内部にばねが仕込まれ、引っ込んだままにはならない(定位置に復する)。

左画像は生地が薄く、右画像は厚い。
ポケットに挿した品は左から
ゼブラF-701
同F-301
本品
カランダッシュ849
ラミーロゴ206
同204
・クリップは原型BN11の形状を踏襲して金属化。旧来の弾性クリップ(可動式でない固定式)ながら機能的に充足し、ワイシャツもラシャ地も挟めるものの、厚地では留まる位置が8mm変わって同社F301並みになる。
2015年限定版では、蛇足に感じられた線刻の意匠が消えて水滴型エマルジョンインクロゴのみになった。再生産を望む。

・後軸の主材料はたぶんアルミ合金。ばねとクリップ、ノックボタンは鉄かステンレスで磁性がある。
銀色軸はヘアライン仕上げ(同社F301より粗くラミーロゴ206より細かい)、色軸は磨き仕上げを染色し、発色が良い。
・先軸は合成樹脂にゴムを二層成形したものだが、口金が金属製で重さがある。
・おそらくシリコーンゴムグリップは、潤滑性ゴムのようで新品時はすべすべして摩擦が低く、また堅い。半年ほど放置するか埃まみれにすればすべらなくなるが、ゴムグリップ好き・嫌い双方に評価が低いに違いない。代わりに、直筒ペン軸と相俟って手帳のペン挿しにもするりと入る。
金属軸は十年くらいもちそうだがゴムが何年もつかはわからない。安っぽくない本品のなかで全く安っぽい部分である。

 金属筒に合成樹脂筒を内張りし、グリップ(先軸)側とねじ材料を合わせて、磨耗とゆるみを防いでいる。ねじ材料の硬度に著しい差があると一方が磨耗するため。
先軸を外して替芯交換。替芯復座ばねがBN11より短く、細かなコストダウンを窺える。紛失に注意。
◆替芯EQ芯 REQ、φ3.9mm(最大4.4)×111、ペン先径2.25mm、日本製。
黒赤青の他、別売されず廃番になった(らしい)が蛍光芯6色あり。付属芯は軸色に係わらず黒インクのみ。
ボール径/筆記距離:0.5mm/1200m、0.7/550、1.0/450
 スラリは油性と水性を混ぜたエマルジョンインク。ここ十年ばかり流行している低粘度油性インクと競合し、あちらより廉価。筆線は旧油性より少し太く、ゲルインクより少し細い。色は旧油性より濃く、ゲルインクより少し淡い。
書き出し擦れなく冬でも支障なく書ける。また三菱ジェットストリームのように裏抜けしたり突然書けなくなること(紙面についた皮脂にインクが弾かれると考えられている)や修正テープへのインク滲出はない(緑インク除く)。
しかし0.5mmはどうも評価が定まらない。ゼブラの細字は、使い始めはだいたい書き味が悪く、書き続けるうちに書きやすくなる。

各紙片、上の行が本品付属芯(0.5mm/ロット番号1403と0.7/1507)、下行が原型スラリBN11付属芯(0.5/1001、0.7/1002)。0.7/1002はインク漏れしたことがある。現行では改善されたのか漏れてない。
インク組成を改めたらしく、替芯内のインクとインク追従体との境目の色合いが変わった。また替芯表面の型番刻印が見やすくなった。

互換品:なし
代用品:
ゼブラF芯を22mm延長してばねごと換えれば本品へ転用できる。

ゼブラK芯、SK芯、UK芯、EK芯、NJK芯などJIS油性B型φ3mm×98.2やその派生型替芯を、クーペ第二回で示した方法を応用し、91mm長の筒で覆って替芯前部を20mm露出させれば転用できる。
ビクーニャ用BXM7Hを5~6mm延長してばねごと換えれば本品へ転用できる。
アクロボール用BRFV-10を111mmへ短くしてばねをBN11用へ換えれば転用できる。
三菱SJPを20.5mm延長してばねごと換えれば本品へ転用できる。
・ラミーM16を4.5~5mm延長してばねをサラサクリップ用へ換えれば転用できる。
・モンブランジャイアントリフィールを約12mm延長してばねをエナージェルX BL10*用へ換えれば転用できる。

 EQ芯はスラリ専用品ながら、無改造で他製品へ転用できる。互換はしない。
・同社サラサクリップ、三菱シグノノック式(UMN-105を除く)、同ジェットストリーム、同プライムシングルへ転用できる。
改造すれば転用先が増える。
・ラミーM16代用。EQ芯を103.5~104mmへ短くし一部を削ってばねをBN11用またはサラサクリップ用へ換えればラミー ロゴ204/ロゴ206へ転用できる。
・モンブランジャイアントリフィール代用。モンブラン380のような旧仕様であれば、EQ芯後端にφ6mmパイプ(内径4mm、末端に0.5~1.0mmプラ板を貼ってモンブラン純正アダプタを模した形状にする)を被せ、ばねをBN11用またはサラサクリップ用へ換えれば転用できる。モンブラン280 (1970年代)では、替芯全長を厳密に合わせ、替芯前部を少々削る。
現行品の場合、98mmに短くしてばねをBN11用またはサラサクリップ用へ換えれば転用できるだろう。*未確認

 EQ芯は同社サラサ用JF芯とほぼ同長なのだから、このペン軸がJF芯互換なら付加価値が高まり、サラサを再ブランディングできただろう、と思っていたらサラサグランドが発売された。

 300円税別はさすが中国製といったところだが、私が神経質な日本的品質管理に馴らされているからか、最初に買った製品の仕上げがやや雑に見えた。2015年に発売された限定版ではこぎれいになって、遜色ない中国製となっていた。近年赤軸を買ったがやはり問題ない。ピンク軸が増えて赤軸が減った現在、この赤は貴重で有用だ。

 その一本を例のごとく革巻きグリップへ改造してもらった。二層成形グリップを剥がすことが難しくまた剥がすとトリムリングを留められなくなるとのことで、ゴムグリップにそのまま革を巻くのが妥当だそうである。→スラリ300 | 神社前歯科医院

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 夏にセーターのアフィを貼るのもなんだと思うが……ポケット付きは1990年代以降らしい(階級の違いではなく)。それ以前は、元になった英軍ウーリープーリー同様ポケットがない。生地はもちろんウールだが肘当てやポケット生地は異なる。
  1. 2017/07/15(土) 18:00:00|
  2. ボールペンBallpoint pen
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